運動が起こるメカニズム① ~外側皮質脊髄路について~
おはようございます。
今日も随意運動が起こるメカニズムについて載せていきたいと思います。
前回は随意運動が起こる際に脳内で一般的に行われていることについて載せました。
では前回の記事の最後に記載した大脳皮質から骨格筋までの
の仕組みについて触れていたいと思います。
まず大脳皮質は機能円柱(コラム)と言われ6層構造になっています。
どういうことかと言うと…
”厚さ5mm、直径0.005mmの円柱型の同じ性質の神経細胞が集まったもの”です。
そしてコラムの複数集まると…
領野(一次運動野・一次体性感覚野とか)
になります。
この6層構造のうちの第5層(Ⅴ層)にある大型の錐体細胞(ベッツ細胞:Betz細胞)から皮質脊髄路(外側皮質脊髄路)が起始しています。
外側皮質脊髄路は主に
”皮質のⅤ層”⇒”放線冠”⇒”内包後脚”⇒”大脳脚(中脳)”⇒”延髄(有名な錐体交叉をここでします)”。
その後命令を
”脊髄の外側側を下行し”⇒”脊髄内にある脊髄介在ニューロン”⇒”脊髄前角にあるα運動細胞”⇒”運動神経”⇒”骨格筋(筋肉、筋線維)”
まで伝達し、ようやく運動(随意運動)や筋収縮、関節運動が起こります。
療法士の方は学生の頃などに解剖学等々の勉強をしているので、上記のことはご存知かと思います。
私がこの中で伝えておきたいことは
運動(随意運動や関節運動)が起きる=筋収縮(筋肉が動く)
ということは療法士や医療従事者だけでなく、一般の方もイメージできているかと思います。
しかし、運動=筋収縮が起こる前に必ず
”脊髄前角にあるα運動細胞”
まで命令が行き
”運動神経”を介して”筋肉”を動かす
ことが起きてるということが重要ということを伝えたいのです。
何が重要かというと…
どれだけ筋力(筋線維が太くても)があっても、
”脊髄前角にあるα運動細胞”
にまで命令が行かなければ運動=筋収縮は…
起きない!!!!!
ということです。
特に私が普段働く中で対象している脳卒中(脳出血や脳梗塞など)の方は、主に
”皮質のⅤ層”⇒”放線冠”⇒”内包後脚”⇒”大脳脚(中脳)”⇒”延髄)”
までの部位や経路が出血や梗塞により、脳内の神経細胞が損傷される病です。
つまり、脳卒中の方の運動が起きないことの主な原因は…
”筋力が足りないこと、弱いこと”
ではなく、
”脊髄前角にあるα運動細胞”
までにうまく命令が届いておらず、
”筋肉を働かせれない”
ということが脳卒中の方の大きな問題ではないのかと考えております。
なので、”筋トレや筋力訓練をすれば、脳卒中の後遺症が治るわけではないよ~”
ということが今回の記事を通して伝われば嬉しいです。
どうしても私の職場では”筋トレ”や”筋力訓練”が主流となっているように感じ、
みなさんの職場でも、”筋トレ”や”筋力訓練”が主流なのではないかな。
と感じます。
もちろん、”筋力訓練””筋力強化”が必要じゃない!って言いたいわけでなく、その前に
”もっと大きな問題点が隠れてるのではないかな”
と少し自分自身の臨床を考えていくきっかけになればと思います(特に脳卒中の方は)。
そして今回お伝えした経路(下行路)だけが運動を起こしているわけでもないよ。
ということをお伝えして終わりにしたいと思います。
なので次回はその他の経路(下行路)についてお話できればと思います。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
運動が起こるメカニズム
こんにちは。
本日は私達の運動が起こる時に、脳で起きていることをお話していきます。
「感覚情報が入力されて随意運動が発生するまでの流れ」
①視覚・聴覚・温痛覚・触覚などの情報がまず、脳に入力されます。
「視覚:後頭葉の一次視覚野」
「聴覚:側頭葉の一次聴覚野」
「温痛覚:頭頂葉の一次体性感覚野」
「嗅覚:大脳辺縁系の一次嗅覚野」
②視覚情報(外界の情報)が視床の外側膝状体を経由し、後頭葉の一次視覚野に入力します(視覚情報は中脳の上丘に入力する経路もあります)。
③一次視覚野に入力された情報は、二次視覚野・視覚連合野へ処理過程を移します。
④視覚連合野では視覚情報を処理し、下記の経路で物体の認識・認知等行います。
背側経路:物体がどこで、どう動いいるかを処理。視覚野⇒頭頂連合野へ。
腹側経路:物体が何・何色かを処理。視覚野⇒側頭連合野へ。
⑤①頭頂連合野と側頭連合野へ入力された情報(①での聴覚や体性感覚も含めて)は、様々な感覚情報や記憶・言語情報と照合・処理され、前頭前野へ出力されます。
⑥前頭前野では「行動の計画(例えばどこを通って目的地までいくかなど)」が行われ、運動前野・補足運動野へ出力されます。
⑦運動前野・補足運動野では「運動の計画(例えばどのような速度で歩くかなど)」が行なわれ、一次運動野と脳幹(網様体)へ出力されます。
※今回は網様体への投射線維(皮質網様体脊髄路)の話はしませんが、重要なので今後いつかしたいと考えています。
⑧一次運動野から錐体路(外側皮質脊髄路・前皮質脊髄路など)・末梢神経を通って骨格筋を収縮させ、随意運動が起こる。
というようなことが脳の中で行われて、私たちの日常生活における運動が起こると一般的に言われています。
こう聞くと脳ってすごいなー♪って思いませんか?
たかだが「物をとる」とか「歩く」「ご飯食べる」ときに脳ではこんなようなことが行われているなんてなんか不思議ですよね。
けど、運動はこういうシステムだけで起きてるわけではないよ♪と言われている本や文献等々もありますので、いつかそういうお話もできたらと思います!
運動とはなにか
こんにちは。
本日は私がリハビリの中で感じていることについてお話ししていきたいと思います。
私たち療法士が関わる中で提供するリハビリテーションは様々であると思います。
例えば…
「歩きたい」と望まれている方に対して、
歩行を実現して頂くために…
歩行訓練
筋力訓練
関節可動域訓練
座位訓練
立ち上がり訓練
立位訓練
〇〇法に基づく治療手技
など様々であると思います。
また上記以外にも様々なリハビリテーションを提供しているかと思います。
その中で共通していることとしては、患者様や利用者様に対してなんらかの
”運動を求めること”
またリハビリにて介入をした後、なんらかの
”運動の変化を期待すること”
ではないかと感じています。
先ほど述べたようなリハビリテーションを提供する際にも必ず、”運動”をすることがあると思います。
じゃあそもそも運動とはなにか?
・物体が、時とともに空間的位置を変えること
・物体の参照系との位置関係が変化すること(物理学における運動)
~Wikipedia より引用~
・各体節の空間的位置の時間的変化
・姿勢が時間的に連続して変化したもの
~基礎運動学第6版 より引用~
・『静的といわれる姿勢も運動であり、神経・筋・結合組織などの身体構成要素の振る舞いが時空間的な環境という文脈の中で自己組織化された「生きている」という生命の動的な秩序である。』
~運動の成り立ちとはなにか 理学療法・作業療法のためのBiNI Approach より引用~
などなどと定義されています。
定義の中で感じる運動とは、とにかく
”変化”することであり、”動き続けていること”
のように私は感じています。
つまり”患者様”や”利用者様”の運動を変えるためにも”変化”することであり、”動き続けていること”
をリハビリテーションに応用していくことが大切であるようにも感じます。
そして私たち療法士が関わる中で大切なこととしては”患者様”や”利用者様”にとって
プラスとなる運動を変化としてもたらすこと
でないかと考えています。
次回は運動(関節運動など)がどのようにして起こるのかなどお伝えできたらと思いますので、よろしくお願い致します。
ブログ始めました
初めまして。
作業療法士として回復期リハビリテーション病院での勤務に従事しています
このブログを通して、リハビリテーションに関わる方々に対して、目の前の
”患者様” ”利用者様”
に対してリハビリテーションを提供する際に少しでも
”活かせる情報”
をお伝えすることができればと考えております。
特に私が作業療法士として働く中でリハビリテーションの対象となる方々は…
病院の特性上”脳卒中(脳梗塞、脳出血など)を呈された方”が多い状況です。
なので、このブログの内容として多くなる内容としては…
”人の運動とは”
”リハビリテーションとは”
”脳について”
”私が想う臨床観”
”脳卒中の方に対しての介入方法”
などなど少しずつ載せていけたらと考えています。
私自身、自己研鑽が必要な身でありますので、このブログを通して
”自分自身が学びを継続すること”
を忘れずに行動していきたいと思います。
それによって少しでもリハビリテーションに関わる方の
”考え方”
や
”引きだし”
が増えていくことに寄与できればと想います。
それでは今後ともよろしくお願い致します。