運動×リハビリテーションを考える 回復期リハビリテーション病院 作業療法士 ブログ

・作業療法士8年目・回復期リハビリテーション病院に従事するOT・”運動”や”リハビリテーション”について探求・”患者様”や”利用者様”に対してのリハビリテーションに関わるにあたり、少しでも還元できるようなことや引き出しとして使えることを提供できればと考えている・

運動が起こるメカニズム① ~外側皮質脊髄路について~

おはようございます。

 

今日も随意運動が起こるメカニズムについて載せていきたいと思います。

前回は随意運動が起こる際に脳内で一般的に行われていることについて載せました。

http://blog.hatena.ne.jp/ot-hiramatsu-rehabilitation/ot-hiramatsu-rehabilitation.hatenablog.com/edit?entry=8599973812338393630

 

では前回の記事の最後に記載した大脳皮質から骨格筋までの

皮質脊髄路(外側皮質脊髄路)”

の仕組みについて触れていたいと思います。

 

まず大脳皮質は機能円柱(コラム)と言われ6層構造になっています。

どういうことかと言うと…

”厚さ5mm、直径0.005mmの円柱型の同じ性質の神経細胞が集まったもの”です。

 

そしてコラムの複数集まると…

領野(一次運動野・一次体性感覚野とか)

になります。

 

この6層構造のうちの第5層(Ⅴ層)にある大型の錐体細胞(ベッツ細胞:Betz細胞)から皮質脊髄路(外側皮質脊髄路)が起始しています。

 

外側皮質脊髄路は主に

”皮質のⅤ層”⇒”放線冠”⇒”内包後脚”⇒”大脳脚(中脳)”⇒”延髄(有名な錐体交叉をここでします)”。

 

その後命令を

”脊髄の外側側を下行し”⇒”脊髄内にある脊髄介在ニューロン”⇒”脊髄前角にあるα運動細胞”⇒”運動神経”⇒”骨格筋(筋肉、筋線維)”

まで伝達し、ようやく運動(随意運動)や筋収縮、関節運動が起こります。

 

療法士の方は学生の頃などに解剖学等々の勉強をしているので、上記のことはご存知かと思います。

 

私がこの中で伝えておきたいことは

運動(随意運動や関節運動)が起きる=筋収縮(筋肉が動く)

ということは療法士や医療従事者だけでなく、一般の方もイメージできているかと思います。

 

しかし、運動=筋収縮が起こる前に必ず

”脊髄前角にあるα運動細胞”

まで命令が行き

”運動神経”を介して”筋肉”を動かす

ことが起きてるということが重要ということを伝えたいのです。

 

何が重要かというと…

どれだけ筋力(筋線維が太くても)があっても、

”脊髄前角にあるα運動細胞”

にまで命令が行かなければ運動=筋収縮は…

 

 

起きない!!!!!

 

ということです。

 

特に私が普段働く中で対象している脳卒中脳出血脳梗塞など)の方は、主に

”皮質のⅤ層”⇒”放線冠”⇒”内包後脚”⇒”大脳脚(中脳)”⇒”延髄)”

までの部位や経路が出血や梗塞により、脳内の神経細胞が損傷される病です。

 

つまり、脳卒中の方の運動が起きないことの主な原因は…

”筋力が足りないこと、弱いこと”

 

ではなく、

 

”脊髄前角にあるα運動細胞”

までにうまく命令が届いておらず、

”筋肉を働かせれない”

ということが脳卒中の方の大きな問題ではないのかと考えております。

 

なので、”筋トレや筋力訓練をすれば、脳卒中の後遺症が治るわけではないよ~”

 

 

ということが今回の記事を通して伝われば嬉しいです。

 

どうしても私の職場では”筋トレ”や”筋力訓練”が主流となっているように感じ、

みなさんの職場でも、”筋トレ”や”筋力訓練”が主流なのではないかな。

と感じます。

 

もちろん、”筋力訓練””筋力強化”が必要じゃない!って言いたいわけでなく、その前に

”もっと大きな問題点が隠れてるのではないかな”

と少し自分自身の臨床を考えていくきっかけになればと思います(特に脳卒中の方は)。

 

そして今回お伝えした経路(下行路)だけが運動を起こしているわけでもないよ。

ということをお伝えして終わりにしたいと思います。

 

なので次回はその他の経路(下行路)についてお話できればと思います。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。